グレート・ニタが、ラストマッチとなった8人タッグマッチで2代目ミスター・ポーゴ組に完勝後、「今から海に帰る。夜の海へ行く」と語った言葉どおり、海へ帰った。

 ポーゴ組に完勝後、ニタは海へ向かったと思われたが1度、リングサイドに戻った。そして試合の興奮冷めやらぬファンにあいさつすると、取り囲まれてサイン攻めに遭った。そして試合終了から40分後、ファンの視線を避けるように、会場の裏から暗がりへと消えていった。

 試合終了から1時間15分後、ニタは東京・台場の海に現れた。10日に妹のグレート・タムを伴って現れた場所から近い砂浜だった。帰る場所を選んだ理由こそ明かさなかったが、日本のファンと最後に会うため、妹を伴って現れた海から、別れの旅立ちをすることに、こだわりがあったようだ。

 ニタは1歩1歩、踏み締めるように砂浜を歩くと、海へ帰る動きをいち早く察知し、駆けつけた取材陣に手を振った。「最後の言葉は?」と聞かれると、満面の笑みを浮かべながら、こうつぶやいた。

 ニタ さよならピース…

 最終戦では、開始ゴング早々からジーザス矢口をリング下に突き落とし、客席の椅子や机まで使っての大乱闘を展開。2代目ミスター・ポーゴの有刺鉄線バットの乱打には、机のめった打ちと毒霧噴射で対抗するなど、リミッターを完全に外した、やりたい放題の“魔界殺法”を披露したが、最後まで応援してくれたファンに対し、健やかな平和を祈ったようだ。そしてニタは、泡を立てながら、静かに海へ潜り、消えていった。

 ラストマッチのリング上で、ニタは「さよならニタということは…大仁田もさよならだと思う…」と口にした。プロレス人生40年で7回目の引退を10月31日に控える、大仁田厚(59)の動向に影響を与えそうだ。【村上幸将】