モンスターが衝撃の112秒殺!! 同級2位の前WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(25=大橋)が1回TKO勝ちで国内最速16戦目の3階級制覇を成し遂げた。

 井上尚弥(25=大橋)の脚力は、既に階級を超越した「規格外」に仕上がっている。

 昨年12月、WBO世界スーパーフライ級王座の7度目の防衛戦前だった。世界戦仕様で用意されたエナメル素材のリングシューズの足底部分が1カ月半で2度も壊れた。日本人の歴代王者ならば、1足で2カ月以上は使用可能な耐久性があるはずが、井上尚のパワーだけには耐えられなかった。

 井上尚のシューズを担当するミズノ・コンペティションスポーツ事業部事業販促部渉外課の折田恵一課長(51)は「脚力の強さなのだと思います」と明かす。強度などを再チェックした上で、マクドネル戦に向けてエナメル素材に加え、メッシュ素材のリングシューズも製作。2種類を並行して使用してもらったという。「どちらか使い心地の良い方を履いて最高の試合をしてほしい」と折田氏。井上尚はメッシュ素材のリングシューズで戦い、112秒TKO勝利を飾った。

 ミズノでは世界挑戦時のボクサーに対し、サイズ調整のために2種類のシューズを製作することはある。ただし「特注なので防衛戦は通常1種類だけ」(折田課長)と異例の態勢だったという。リングシューズにまつわるエピソードでもポンド・フォー・ポンド(階級を超えての最強選手)ぶりを証明。WBSSでバンタム級の世界最強を示す土台は、既に完成していると言っても過言ではないだろう。【藤中栄二】