敗れた王者木村翔(29=青木)はV3失敗に「悔しさ」も「気持ちよかった」と満足感も得ていた。初回から攻防が刻々入れ替わる手数の多い打撃戦。右目の周りを腫らせて「終盤は見えなかった。右拳も痛めた」が、ジャッジ3人の採点が一致は12回中5回だけ。「王者の根性は見せられた」と、0-2判定以上に競り合いの激闘を演じた。

有吉会長は結果を受け入れたが、採点には不満を示した。7回にダウンさせるもスリップ、最終回は田中優勢の採点が1人。異議通りなら2-1で勝利か、0-1の引き分けで防衛成功となる。立会人を通じてWBOに抗議する。

木村はたたき上げの雑草から、中国の英雄鄒市明を皮切りにエリートを倒してきた。今回も「全力を出し切って紙一重」に「もう引退。燃え尽き症候群」。あっさり引退宣言まで口にした。59日間で2戦した自称昭和のボクサーはとりあえず休養に専念する。