ボクシングWBA世界バンタム級王者井上尚弥(25=大橋)が「カズ流」仕上げで階級最強を証明する。今日7日、横浜アリーナで階級最強を決めるトーナメント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)1回戦を控え、6日には都内で挑戦者の元WBAスーパー王者フアンカルロス・パヤノ(34=ドミニカ共和国)とともに前日計量に臨んでクリア。疲労回復などのため、サッカー元日本代表FW三浦知良が導入するストレッチ法で過去最高の状態に仕上げた。

リミットの53・5キロで計量パスした井上は、53・2キロでクリアしたパヤノと15秒ほどにらみ合った。「無心でしたね」と、ほどよい緊張感に包まれた。動画配信のために英語が飛び交うWBSS公式計量のムードを満喫するように笑みをこぼす余裕もあった。「モチベーションも気持ちも上がっているので、あとは明日、楽しめれば最高の試合ができるかな」と充実した表情を浮かべた。

「過去最高の仕上がり」と表現した今回は、初めて新トレーナーを招いた。周囲の勧めでスパーリングの疲労蓄積が懸念された3週間前からストレッチ専門店「Dr・ストレッチ」のトレーナー陣による体のメンテナンスを週3回のペースで受けてきた。J2横浜FCのFWカズが導入している同調整法でもあり、井上自ら「すごくいいですよ」とコンディションの良さを実感できた。

同ストレッチ法は疲労回復だけでなく、故障しにくい体作り、体幹の強化や左右の筋肉のバランスを整える効果も期待できる。WBSS決勝となる約1年後まで見据え、継続していく方針だ。WBSS1回戦は、その効果も存分に発揮する好機。「(パヤノに)何もさせない。自分でもハイレベルな試合になると思っている」と意気込んだ。

パヤノ戦には世界戦連続KO記録(7戦連続)、世界戦通算KO記録(11試合)という、2つの日本新記録もかかる。

「KOに対するこだわりは毎回ありますが、防御力もある選手で倒そうと思って倒せる相手ではない。流れの中で見つけていければいい」

無駄な力を抜き、最後まで自然体を貫いた。過去最強の井上尚弥で、WBSS開幕戦を迎える。【藤中栄二】