ボクシングの元世界3階級制覇王者の亀田興毅(31=協栄)が10日、ブログで「私、亀田興毅は現役を退き、プロボクサーを引退することにしました」と引退を表明した。

興毅は15年10月16日(日本時間17日)に米シカゴでWBA世界スーパーフライ級王者の河野公平(ワタナベ)に判定負けして引退を表明したが、国内での引退試合開催を希望し、5月5日に1試合限定で復帰。10年3月のWBC世界フライ級王座統一戦で初黒星を喫した元同級王者ポンサクレック・ウォンジョンカム(40=タイ)と対戦し、2回12秒TKO勝ち後、引退式の最中に、元4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(31=ニカラグア)と対戦出来るなら、もう1試合したいとぶち上げていた。

興毅は10月にニッカンスポーツ・コムの取材に応じた際、2度目の引退を示唆していた。ゴンサレス戦を含めた今後について聞かれると「乞うご期待。別に、もう興味がない…自分の現役に、そこまで興味がない」と口にした。ゴンサレスが9月に元世界2階級王者のモイセス・フエンテス(メキシコ)に5回TKO勝ちした試合も「見ていないです」と言い、笑った。

実はポンサクレック戦翌日の5月6日に、都内の協栄ジムで取材に応じた際、試合前の練習で腰がヘルニアになった上、左拳も痛めたため、予定していた練習が消化出来ないまま試合に臨んでいたことを明かした。満身創痍(そうい)だった。また、ゴンサレスと戦いたいとリング上で一方的に言い放ったことについても「1回、引退するって言うたのに、ああいう風な形になって大変、申し訳ないことをしたなと思うので、そこは謝っておきたい。すごい迷惑をかけてしまった」とJBCをはじめとした関係各位に謝罪した。

一方でボクサーとして、強者と戦いたいという欲求も吐露。「自分にウソをつきたくなかった。どこかに、そういう気持ちが少しでも残っているなら、後悔するのは嫌やし、それやったら最後までやり切ってしまおうかなと。ただ、その選手以外とやるしかないし、実現できないなら静かに速やかに引退する…それだけ」と、ゴンサレス戦が決まらなければ引退すると明言していた。

そうした状況の中、WBC世界スーパーバンタム級2位の弟・和毅(27=協栄)が12日に東京・後楽園ホールで1位アビゲイル・メディナ(30=スペイン)と暫定王座を争う試合が決まった。和毅にとって3年ぶりとなる世界戦が迫り、心境の変化もあったのか「もう、自分の時代じゃないですから。これから和毅とか、下の世代の時代じゃないですか。井上尚弥も出てきたし…ボクシング界に新しい新時代が来た」と、次世代にバトンをつなぐ考えを考えを口にした。その言葉どおり、興毅は今度こそ、グローブを壁につるした。【村上幸将】