元3階級制覇王者の八重樫東(36=大橋)が、世界前哨戦で快勝し、日本男子初の4階級制覇に向けてはずみをつけた。

サハパープ・ブンオップ(23=タイ)とスーパーフライ級10回戦で拳を交え、2回2分25秒、TKO勝ちを収めた。強烈な右ストレート、左右のアッパーで計3度のダウンを奪い、昨年8月以来、約8カ月ぶりの試合を飾った。

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36歳の八重樫が躍動感にあふれた。2回、強烈なボディーを嫌がりガードを下げたブンオップの顔面を右拳で打ち抜き、ダウンを奪った。立ち上がった相手に容赦はない。

再びボディーからの右アッパーで2度目、最後は左アッパーでキャンバスに沈め、13歳年下を計3度のダウンで倒した。

「またボクシング人生が続けられるので、うれしいです」と声をはずませ、八重樫は「もう14年やっているので、最後の花道は(大橋秀行)会長が盛大につくってくれると思います。最後まで付き合ってもらおうと思います」と4階級制覇を狙う世界挑戦のマッチメークを懇願した。

昨年8月以来、実に8カ月ぶりの試合だった。昨秋からWBC世界スーパーフライ級王者シーサケット(タイ)側と交渉。契約寸前で2度破談になっていた。大橋会長は「シーサケットにこだわっていない」と説明。同じ4階級制覇を目指す井岡一翔が6月にもWBO世界同級王座決定戦に臨むことが濃厚で、八重樫は「面白くなる。頑張りたい」と気合を入れ直した。【藤中栄二】