暫定王者亀田和毅(28=協栄)がプロ33戦無敗の正規王者レイ・バルガス(28=メキシコ)に0-3の判定で敗れた。アマ時代に唯一敗れた因縁の相手に12年ぶりのリベンジはならなかったが、世界王者返り咲きへ前を向いた。

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追っても追っても逃げていく。亀田の拳はバルガスになかなか届かなかった。序盤から足を使って攻め込み、右フックやストレートをヒットさせるが、回を追うごとにリーチの長いバルガスに巧みに距離を取られた。最終12回には焦りからかブレーク中にパンチを打ち込み、痛恨の減点。決定打がないまま判定で敗れた。

手も足も出なかった12年前とは違い、手応えは残った。

試合直後のリングでは「バルガスをリスペクトしているが、今夜は自分が勝ったと思う。学び、練習して再び世界王者になる」とスペイン語で宣言した。

この一戦を踏み台に、2階級上のスーパーフェザー級まで制覇する夢も思い描いていたが、先行きは不透明となった。ただ、辞めるつもりはない。「ボクシング人生は1回。お兄ちゃんたちは世界王者になったし尊敬しているけど『強い選手と戦いたかった』とずっと言ってる。だから自分はどんな相手でも逃げない。もうやりたくない。そこまで追い込みたい」。悔いを残す2人の兄と同じ轍(てつ)は踏まない。強い心で、再起の道を探っていく。