ボクシングWBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が11月7日、さいたまスーパーアリーナで5階級制覇王者となるWBA世界同級スーパー王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)とワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝に臨むことが7日(日本時間8日)、WBSS公式サイトで正式発表された。

井上がドネアと対峙(たいじ)するのは「運命的」だったと言っていい。WBSS公式サイトで、大橋秀行会長は「モンスターの名前で知られる井上、そしてドネアはこの競技のレジェンドです。いつも両者はリングで戦う運命にあると感じていました」とコメント。5年前、井上はドネアから秘策を伝授してもらい、2年前には同会長が横浜市内で偶然、ドネアと再会。一緒に寿司を食べたことなどをなつかしく振り返ったような内容だった。

14年11月。21歳だった井上はWBC世界ライトフライ級王座を返上し、同年12月、当時のWBO世界スーパーフライ級王者オマール・ナルバエス(アルゼンチン)に挑戦する時期だった。そこでテレビ解説などのために来日中だったドネアと大橋ジムで対面。ナルバエスに勝利したドネアから攻略法を伝授された。

「コンビネーションが突破口になる。右のストレートに合わせてくるジャブを注意した方がいい」など具体的なアドバイスをもらっていた当時の井上は「世界のトップ選手に攻撃や守備のパターンを聞けて、とても収穫になった」と自信を深めていた。あれから5年が経過しても、井上の脳裏には、当時のドネアの印象が残っている。

11月7日のWBSS決勝へ、6日から大橋ジムで本格的なスパーリング開始した井上は「ドネアはデカいな、という印象。あの時はドネアがスーパーバンタム級やフェザー級の頃で、自分がスーパーフライ級に上げたてだったのでデカイというイメージありましたね」としみじみと口にした。当時は5階級制覇王者と拳を交えることは「考えてもいなかった」とあらためて口にした井上は真っ向勝負できる自信をのぞかせる。

5月18日のWBSS準決勝勝利後、ドネアと並んでフェースオフしており「今はドネアも絞っているので。体のデカさは感じなかったですね」と対戦相手として見据える。今月中には日本でWBSS決勝会見も開催される見通し。WBSSを運営するコモサのカレ・ザワーランド氏は「(優勝副賞のムハマド)アリ・トロフィーはライジングサンの口に到着する。なんという決勝、なんという決着でしょう。11月7日、どちらがトロフィーを上げるのかが待ちきれません」とWBSS公式サイトでつづった。階級最強を決めるトーナメント決勝の機運は、一気に高まってきそうだ。