新型コロナウイルス感染拡大後、国内初のプロボクシング興行となる中日本新人王予選が12日、愛知・刈谷市あいおいホールで行われた。3月29日予定だった5試合を無観客で行い、選手は3週間前と前日の2度、抗体検査を受け、陰性となり、前夜はホテルに“隔離”された。

感染予防対策で屋外に面したドアは開放され、リングサイドのタイムキーパーらはフェースシールド、医療用防護服を着用。ロープ、リングをこまめに消毒、セコンドはマスクをし、大声の指示を出さないよう伝達された。“勝者第1号”のミニマム級の松本幸士(30)は昨年11月のデビュー戦で惨敗。「試合できるのかとずっと思っていて…。負けたままは嫌だった」とうれし泣きした。

ただ、ボクシング界はチケット収入が経営に直結するだけに試練はこれからだ。新人王予選は底辺拡大の面で無観客だとしても行う価値が高く、経費約140万円を日本プロボクシング協会が負担した。中日本プロボクシング協会の東信男会長は「今回で次につながったと思うが(無観客では)行き詰まる」とも。日本ボクシングコミッションの安河内剛本部事務局長は“客入れ基準”を「一番は行政、自治体の方針」とし、業界全体で落としどころを探っていく。【加藤裕一】