ボクシングで国内連続KO最多記録保持者の渡部あきのり(35=角海老宝石)が現役を引退した。

日本ボクシングコミッションに14日付で、東洋太平洋スーパーウエルター級王座返上とともに引退届を提出した。ウイルスの影響で選手不足から試合が決まりにくい状況や、今後もモチベーションやパフォーマンスを維持できないと判断したという。07年に世界王者となった浜田剛史に並ぶ、日本人選手最多となる15連続KOをマークした強打者だった。

埼玉・花咲徳栄高時代にはインターハイで準優勝し、在学中に目標だった世界王者鬼塚勝也がいた協栄ジムに入門した。04年にプロデビューは判定勝ち。ウエルター級で全日本新人王となり、MVPも獲得した。亀田兄弟とジムメートとなると、父史郎氏に弟子入りして、リングネームを「牛若丸あきべぇ」に変えた。

07年に2戦目からの連続KOを国内タイの15に伸ばしたが、日本王座初挑戦では1回KO負け。連続KO新記録も逃し、17戦目の初黒星を喫した。3連敗と低迷すると渡部あきのりに変更。11年に日本と東洋太平洋同級の2冠王座を獲得した。

東洋太平洋王座は5度防衛後に野口ジムに移籍した。16年には角海老宝石ジムに移籍し、18年に日本スーパーウエルター級暫定王座を獲得。昨年には韓国で東洋太平洋同級王座も獲得し、日本と東洋太平洋で2階級制覇を達成した。12月に初防衛成功が最後の試合となった。

18年には長女が白血病と告白した。「娘のために頑張る」と世界をあきらめることなく奮闘していたが、夢を果たせずにグローブをつるした。175センチの左ファイターで、通算39勝(33KO)7敗1分け。