ドーピング騒動のあったボクシングWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(31=Ambition)が12日、都内のホテルで日本ボクシングコミッション(JBC)の永田有平理事長(66)と同席し記者会見に臨み、直接の正式謝罪を受けた。

昨年大みそかの田中恒成(畑中)との2度目の防衛戦時のドーピング検査で採取された検体が大麻成分の陽性反応を示したが、JBCの不備や検査の管理体制に不手際が判明。JBC側から一定の謝罪を受けた。しかしその後、所属ジムとして<1>JBCの体制をはじめ、<2>ドーピング検査の刷新、<3>一部週刊誌に情報が漏れた原因の究明、<4>内容の伴った謝罪を求めていた。

会見冒頭で、謝罪文を手渡した永田理事長は井岡と井岡の家族に対して多大な心労と迷惑をかけたことに深く謝罪したとした上で「(自ら)責任問題ですが、私と執行理事の浦谷はJBCに進退伺を提出しております。情報漏えいの調査をし、管理体制の不備が指摘され、私の処分が決まると思う。理事会は判断すると思う」と説明した。

永田理事長の謝罪を受け、井岡は「すべて納得したわけではない」と前置きしつつも「この問題は、本当僕をはじめ、家族が味わった苦悩は苦しみだったり、謝られて済む問題ではない。ただ、ずっとJBCにいつまで言い続けることもできない。現役生活もある。はざまの中で気持ちの整理、決断はしないといけない。1つの区切りとして、許す、許さないではなく、次に進まないといけないということで受け入れました」と心境を口にした。

井岡の代理人によると、ドーピング検査の刷新、一部週刊誌に情報が漏れた原因の究明、さらに理事長と執行理事の進退伺を理事会に提出していることを受け、正式謝罪を受けたという。現在、JBCでは弁護士3人による情報漏えいに関する委員会が立ち上がり、8月末には調査が終了予定。その後のJBC理事会で管理体制の不備について2人の進退伺について議論される見通しだ。

現在、JBCではドーピング検査の改善が進んでいるものの、オリンピック水準のドーピング検査整備が完了するのは年内の見通しだという。井岡は「1つのけじめがついたので、前向きに勝つためのトレーニングに努力していきたい。ファンの皆様には次の防衛戦を楽しみにしていただきたいと思います」と前を向いた。なお井岡は9月頃、国内で同級2位フランシスコ・ロドリゲスJr.(メキシコ)とのV3戦が浮上している。