WBO世界フライ級王者中谷潤人(23=M.T)が一撃で、日本人初の初防衛戦米国デビュー勝利を飾った。同級1位アンヘル・アコスタ(30=プエルトリコ)との指名防衛戦。レフェリーストップ、4回32秒TKO勝ちした。戦績は22勝(16KO)無敗となった。

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大橋秀行評論

技術、パワー、進化の3拍子がそろった中谷の快勝劇だった。序盤から右ジャブが非常に良く、倒そうという気迫がアコスタを後退させた。特に1回、外側から大きく振った左フックをみせた後、最短距離で左ストレートを打ち込んだ技術は圧巻だった。あの左ストレートでアコスタをぐらつかせた時、鼻骨を破壊したのだろう。鼻血が止まらなかった。挑戦者の接近戦に対しても冷静だった。強振せずにヒット優先に切り替えたところも良かった。挑戦者の鼻血でTKO勝ちとなったが、あのまま試合続行でも、いずれ中谷が倒していたと見る。

昨年11月に世界王者となってから約10カ月ほど経過し、パンチにパワフルさを感じた。特にサウスポーから繰り出される左フック、左ストレートは格段の進化があったと言っていい。身長171センチと体格も良く、いずれ階級を上げて複数階級で世界王座を狙える王者になっていくだろう。近年まれにみる、恐ろしい選手になると思う。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者)