ボクシングIBF世界スーパーライト級6位平岡アンディ(25=大橋)が2冠奪取に成功した。日本ユース同級王者佐々木尽(21=八王子中屋)との日本、WBOアジア・パシフック同級王座決定戦で拳を交え、11回1分58秒、TKO勝ちで新王者となった。7回に連打からの右フックでダウンを2度奪取し、11回に強烈な右アッパーでダウンを追加し、レフェリーストップに追い込んだ。

前日計量で佐々木が体重超過で失格し、当日計量をクリアして試合成立した1戦だったが、平岡は「試合する前からいろいろあり、僕は切り替えて試合に臨むようにした」と平常心を貫いていたという。約2年前から王座挑戦のチャンスがあったものの、その強さゆえに対戦相手が決まらずに時間が経過したこともあり「2年ぐらい待った王座をやっと。試合も勝って注目されてうれしかった」とほっとした笑みを浮かべた。

10歳当時、TBS系列で放送されたバラエティー番組「さんまのスーパーからくりTV」に出演した平岡は「あがり症」を克服するために、明石家さんまに手紙を出したアンディ少年として有名。ボクシングの素質を発揮できず、優しい性格で父ジャスティス・トレーナーに怒られる「気弱なボクシング少年」としてお茶の間の人気を集めた。

試合後には当時、同番組に出演していたタレント関根勤と対面。「親戚のおじさんのよう。感激です」と笑顔の関根から「アンディ少年はそこにいない。あの頃は気弱だったけど立派な王者に。今日、(明石家)さんまさんにメールします。『ホンマか』と返信がくると思います。」と熱いエールを送られた。平岡も「(泣き虫アンディは)返上でいいですよね」と満面の笑みを浮かべた。

世界ランキング入りしている平岡が国内、アジア王座も同時に獲得したことで世界挑戦の可能性も広がった。所属ジムの大橋秀行会長(56)は「なかなか日本で世界戦をやれる階級ではない」と前置きしながらも「(世界挑戦の)チャンスがあれば」と来年以降を見据えた。「ラスベガスのメインで世界戦」を目標に掲げている平岡は「もうひと踏ん張りして世界を目指したい」と強い決意。「泣き虫アンディ」から「世界のアンディ」へと突き進む区切りの勝利となった。