元IWGP世界ヘビー級王者のオカダ・カズチカ(34)が史上4人目となるG1連覇と、自身4度目となる真夏の栄冠ゲットに王手をかけた。ファイナルトーナメント準決勝で、Bブロックを突破したタマ・トンガ(39)を渾身(こんしん)のレインメーカーで沈めた。メインでは、ウィル・オスプレイが内藤哲也を撃破。18日の日本武道館大会の頂上決戦、決勝はオカダ-オスプレイで争われる。

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オカダに、翌18日の決勝戦へ体力を温存する余裕はなかった。いや、惜しみなく大技を繰り出すトンガに、全力で応えることが昨年度覇者の揺るぎのない、姿勢だった。

16日のリーグ最終戦で現IWGP世界ヘビー級王者ホワイトを倒した相手の爆発力とスピードに、苦戦を強いられた。それでも必殺のガンスタンは意地でも決めさせなかった。最後は19分8秒、変形ドライバーからのレインメーカー(短距離式ラリアット)を一閃(いっせん)。試合終了のゴングを鳴らした。そして、「最後まで、熱いG1を過ごして優勝する」と言い切った。

1番は絶対に譲れない。「プロレスラーは、子供たちから憧れられる職業であり続けなければならない」。そんな大きな使命を担っている自負がある。

12年に「新日本に金の雨を降らせる」と宣言。“レインメーカー”を名乗るようになってからは、戦いだけではなく、見せ方にもこだわり続けている。髪色やガウンもゴージャスに。会場の出入りにも、スーツを着用してきた。

高い意識は私生活にも及ぶ。以前、自身の車が接触事故に遭った際、警察官から「プロレスラーでもこんな(高級)車に乗れるんですね」と言われたことがある。それを機に、思いは一段と強くなった。「いつでも、かっこよくいないといけない」。現在は、赤いフェラーリに乗る。

今年は、団体創設50周年の節目の年。「思いは、みんなよりも上回っている」と言い切る。今月13日、テレビ朝日系で5年ぶりに放送された「プロレス総選挙」では、1万人のファンによるアンケートで1位に選出された。「やってきたことが認められた」と充実感をにじませたが、まだまだ手にするべきものは残っている。

自身が他の選手たちにとっての高い壁であり続けること-。それが、新日本全体のレベルアップにつながると信じている。そのために、G1連覇は譲れない。18日の決勝は、今年1月の東京ドーム大会で激闘を繰り広げたオスプレイが相手。ただ、「あと1つしかないので」と相手は意に介さない。夏の主役はオカダしかいない。【勝部晃多】