団体の価値を高めていく。GLEATの初代G-REX王者エル・リンダマン(27)が、同級王座5度目の防衛に成功した。

メインイベントで、新日本プロレスから挑戦したDOUKI(30)と対戦。今年5月に新日本のリングで敗れていた難敵に、3カ月ぶりの再戦で成長を示した。DOUKIボムやスープレックス・デ・ラ・ルナなど、ここぞの大技を惜しみなく繰り出してきた相手に、正々堂々のファイトで応戦。意地のスープレックスを連発し、最後は粘る相手を渾身(こんしん)のタイガースープレックスホールドで仕留めてみせた。

20年10月に産声を上げた新興団体のGLEAT。リンダマンは161センチと小柄ながら、その強靱(きょうじん)な肉体と度胸で団体をけん引してきた。

昨年12月に団体初となるシングル王座「G-REX」が誕生。今年2月のトーナメントを制し、初代王座につくと、さらにトップの意識は高まった。5月には、新日本のベスト・オブ・ザ・スーパージュニア(BOSJ)に初参戦。勝ち越しこそ逃したが、元IWGPジュニアヘビー級王者エル・デスペラードを撃破するなど、一躍飛躍を遂げた。

この日も、王者の貫禄を漂わせた。「GLEATは挑戦して、挑戦して、既存のプロレスを変えていく」と、よどみないマイクパフォーマンスを披露。解説を務めた元ドラゴンゲートの吉野正人氏からも「こんなにしゃべれるようになってびっくりした」と、高評価されていた。

14年にドラゴンゲートでデビュー。新日本の練習生募集で、書類選考落選の経験を持つ。どん底から這い上がり、今は団体のトップをひた走るまでになった。それでも「GLEATはまだまだ誰にも偉そうにできる立場じゃない。俺たちの頑張りなんてまだまだだよ」と、前だけを見据える。これからも「GLEATにリンダマンあり」を証明していく。