元プロレスラーで参議院議員も務めたアントニオ猪木さん(本名・猪木寛至)が1日午前7時40分、心不全で死去した。79歳だった。

この日の午後5時頃、自身のYouTubeチャンネル「最後の闘魂」を更新。「アントニオ猪木『最後の言葉』」のタイトルでインタビューに応じ、今後について意欲を語っている。

猪木さんは、都内の自室で上体を起こすのも困難の様子。部屋から富士山が見える眺望について「景色がいいだけじゃ生きていけねぇよ」と笑顔を見せた。

YouTubeの更新について「別にやりたくないよ。でもみんなが『やればいいじゃん』って。欲も何も全くないんだから俺。欲がないというのは何の欲もない。金銭欲なのか女なのか色々。生きていること自体が何であるか」と話した。

日々の生活について「毎日毎日3年近く天井を見上げて、話し相手もいない。天井(の木目)に数あるけど、あれを全部数えて。それぐらいやることもあるようでない。だいたい見せたくないでしょ。こんなザマを。みんなに見せたくないでしょ普通は。でもこんな商売しているからあるがままでいいじゃん。こういう状況が分かって。みんなに見てもらって弱い俺を。しょうがないじゃん」とインタビュアーのほうを見つめながら言葉をつむいでいる。

猪木さんが姿を見せ続けることで勇気をもらっているファンについて「そういうファンもいる、自分はしっかり分かってなきゃいけないのかなと思います。見てほしいというとどうもちょっと抵抗がある。誰にも見てもらいたくないよ」と再び笑顔で応えている。

また、近況について「舌が回らなくて言葉も。寝てても口を動かす練習をしてる。もう1つの口の食べるほう。こっちがやっぱり胃が小さくなって。美味しいものは本当に全国から初めてとれた何々、珍しい何々、送ってくる。そういうのはね、手をつけないと悪いから。だけど晩飯は1人で食べるのが一番辛い。たまにいるけどみんな忙しい」とさみしそうな表情を浮かべている。

今後については「もっともっと世界の環境問題。山ほどあるけど、いま手近でやれること。世界のゴミを消していくこと。これだけ汚してしまった地球を自分たちの手できれいに掃除すべきだと。世界に向けて猪木しかできないことを。『どうだー!』と大きな声が出せるか日がもうすぐそこに来ています」と意気込んだ。

「もう俺も80だから、もうそろそろ猪木さん楽をしてくださいという人は誰もいないんだよ。(インタビュアーのまだまだ走ってほしいという激励に)この声が一番、俺の敵なの。でも、敵がいる限りいいじゃないですか」と笑顔で締めている。

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