グレート・O・カーンが、14日に訃報が伝えられた元新日本のプロレスラー北村克哉さんをしのんだ。「一番の大ファンだった」と涙を流した。

「帝国の支配者」に3分だけ岡倫之が憑依(ひょうい)した。O・カーンの以前の姿であるとささやかれている岡と、北村さんは16年、新日本に同期入門。前日14日の試合後のバックステージでもこの件に触れていたO・カーンだったが、改めて北村さんの名前を出して悼んだ。

「これでもめちゃくちゃ言いたいことがあって…。思考を巡らせたけど、今言わないと絶対後悔すると思ったから。これっきり。これっきりだ。今から1分だけプロレスラーを辞める」。そう切り出して、北村さんへの思いを語り始めた。

「余はグレート・O・カーンだ。だから北村克哉なんて知らねえよ。でももし、北村が同期だったとしたら、あいつのトンパチのせいで、どれだけとばっちりを受けたと思う? 数えきれない。もし、あいつが同期だったとしたら、余は北村のことが大嫌いだった。でも、いちファンとしてみたら、大ファンだったと思うよ。余はトンパチにはなれない。だから、あいつみたいに好き勝手生きてよ、他人に迷惑をかけても、後ろを振り向かない、ああいう生き方が魅力的に見えたし、最高にプロレスラーだったと思うよ」。そう、涙で声を詰まらせながら話した。

1分との宣言だったが、O・カーンは、さらに話を続けた。「あいつが選んだ道と余が選んだ道。余が選んだ道の方が正しいって絶対に示してやる。あのバカ野郎。最後の最後まで人様に迷惑をかけやがってよ。ふざけんじゃねえよ。今まで積み上げてきたもんが全部パーだ。余の選んだ道が絶対に正しいって示してやるから」と、天国の旧友に誓った。最後は「これで正式にモンスターレイジ(北村さんとのタッグチーム)は解散だ」と、悲しそうに呟いていた。

北村さんは14日までに、死去していたことがわかった。死因は不明。36歳だった。国体でレスリング高校日本一に輝き、専大3年時に初の日本タイトルを獲得。その後、フリースタイルとグレコローマンを合わせて日本タイトルを7度獲得し、世界選手権にも3度出場。17年に新日本プロレスでデビューしたが、19年に手首のケガを理由に引退を発表。昨年11月のRIZIN32大会では総合格闘技デビューを果たしていた。