新日本プロレス創立50周年イヤーの大トリで、オカダ・カズチカ(35)が頂点に返り咲く。4日開催の東京ドーム大会で、IWGP世界ヘビー級王者ジェイ・ホワイト(30)に挑戦する。昨年6月にベルトを奪われ、ここまで1勝4敗と苦杯をなめてきた相手。22年には史上4人目のG1連覇を達成したオカダは、天敵撃破を宣言。完全王者として今年のプロレス界をけん引する。

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IWGP世界ヘビー級王座初戴冠、同王座4度の防衛成功、史上4人目のG1連覇達成-。オカダは昨年、文句なしで新日本の顔としてプロレス界をリードした。だが、年間最大興行となる東京ドーム大会のメインイベントは、2年連続で挑戦者として迎える。対角線上には王者ホワイト。新日本最高峰のベルト奪還なしには、カネの雨を降らせる“レインメーカー”の23年は始まらない。

並々ならぬ自覚と決意を口にする。「50周年の集大成をしっかり見せつつ、これからも応援してもらえる新日本の戦いを見せる。そのためには、俺があのベルトを取らないといけない」。立ちはだかる大きな壁を乗り越える。

ホワイトはまさに「天敵」と言える存在だ。昨年6月の大阪大会。王者として挑戦を受けた同選手権試合は、まさかの結末に終わる。敵セコンドの介入や首絞めなどのダーティーファイトを許し、最後は必殺技のブレードランナーに散った。リング上で圧倒的な存在感を誇る男が、終始試合の主導権を握られ、ほぼ何もできなかった。

「強い。反則する、しないに関係なく強い。気を抜く暇はない」と、自身もその実力を認めている。

過去を振り返ってみても、相性の悪さは歴然だ。対戦成績はオカダの1勝4敗。まだホワイトが同じケイオス時代の18年にG1公式戦で初対戦して敗れた。米国のタイトルマッチで1勝したものの、その後も連敗続き。今回の前哨戦でも「対策を考える暇なく終わった」と、悪いイメージは払拭(ふっしょく)できずにいる。

だが、泰然自若の姿勢を貫く。「俺はチャレンジャーだけどG1を勝った自信がある。ジェイは勝てていないですからね」。22年度プロレス大賞に選ばれたことに対しても「まあ、俺でしょ」と言いきった。1年間団体を引っ張り続けた。その実績が、確固たる自信と余裕につながっている。

大会は、昨年10月に死去したアントニオ猪木さんの追悼興行でもある。「新日本のリング上は安心だねと言ってもらえると思う」。王者の自覚を持った「挑戦者」オカダは、強い。【勝部晃多】