12年ロンドン五輪ボクシング男子ミドル級金メダリストで元WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(37=帝拳)が現役引退を決断したことが22日、明らかになった。

先週、所属ジムの本田明彦会長(75)に正式な引退意向を伝え、了承されていた。来月に引退会見に臨むという。同日、都内で行われた22年度ボクシング年間表彰式で年間最高試合を受賞した村田は「自分の中で」と引退の意思を固めたことを口にしていた。

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22年4月に行われたミドル級最強王者となるゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)とのWBAスーパー、IBF世界同級王座統一戦で9回TKO負けを喫してから約10カ月。村田自らが「白紙」としていた去就をついに決断した。2月16日、所属ジムの本田会長と都内で会談。正式に現役引退の意向を伝え、了承されていた。関係者によれば3月中に引退会見に臨み、進路を含めた今後について自身で明らかにするという。

ゴロフキン戦以降、村田は本田会長とは数回にわたって話し合いを続けてきた。時間の経過とともに引退への意思が固まってきたようで、先月25日に都内で行われた「第13回日本スポーツ学会大賞」の大賞授賞式では「現実的にこれから続けることは考えられない。これから先に『もう1度』とか。もっと強くなるというのはあるが、名声やお金以外に得られるものはない。これ以上、求めることはできない。ただ結論は自分だけでは出せない」と率直な心境を口にしていた。

この日、村田は3年ぶりに都内で開催された年間表彰式に出席した。ゴロフキン戦が年間最高試合に選ばれたことに「あの試合は僕の中では最後の試合だと思っているので、評価されたことは感慨深いし、うれしい」と発言。“最後の試合”という真意を問われ「(現役引退)発表できていないだけの話。自分の中ではそう思っている」と引退意思を認める発言をしていた。

今年に入って村田は何度か都内の所属先でジムワークしていた。先月12日に37歳を迎えた自らの肉体やコンディションをチェックするような行動をしており、あらためて自身の心と体に現役生活の最後を刻んだとみられる。12年ロンドン五輪金メダル、そして17年にWBA世界ミドル級王座を獲得。アマとプロで世界を極めた村田が現役リングから去る。

 

◆村田諒太(むらた・りょうた)1986年(昭61)1月12日、奈良市生まれ。伏見中1年で競技開始。南京都高(現京都広学館高)で高校5冠。東洋大で04年全日本選手権ミドル級で優勝するなど国内13冠。11年世界選手権同級銀メダル、12年ロンドン五輪で日本人で48年ぶりとなる金メダルを獲得。13年8月にプロデビューし、2回TKO勝ち。17年10月、WBA世界同級王座を獲得し、日本人で初めて五輪金メダリストがプロ世界王者となった。プロ通算戦績は16勝(13KO)3敗。既婚。183センチの右ボクサーファイター。