日本ボクシングコミッション(JBC)は21日、プロボクシング元世界4階級制覇王者・井岡一翔(34=志成)のドーピング検査で採取された検体が禁止物質である大麻成分(THC)の陽性反応を示していたと発表した。検体は、昨年12月31日に引き分けたジョシュア・フランコ(米国)とのWBA、WBO世界スーパーフライ級王座統一戦後の検査で採取されたもの。世界アンチドーピング機関(WADA)による上限の基準値よりも少ない微量のため、JBCは違反しないと判断。24日の王者フランコとの再戦となるWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ(東京・大田区総合体育館)は予定通り開催される見通し。

井岡が所属する志成ジムは、世界戦直前の発表を受け、JBCの姿勢に困惑し、あらためて井岡が大麻成分を含む禁止薬物の使用を強く否定。「身の潔白を証明する」などとするコメントを発表した。

井岡はWBO世界同級王者時代の20年12月、元世界3階級制覇王者・田中恒成(畑中)の挑戦を受けた際のドーピング検査でも簡易検査のA検体から大麻成分、その後のB検体の一部から禁止薬物が検出される「薬物騒動」があった。ただJBC側に検体の管理態勢の不手際や検査の不備が重なったため、JBCは違反と認めずに処分なしと発表。記者会見を開いて井岡に謝罪していた。

◆20~21年の薬物騒動の経緯 

21年4月26日 20年大みそかの田中との2度目の防衛戦時で採取した井岡の尿検体に大麻や違反薬物が検出されたと一部の週刊誌が報道

同27日 JBCが井岡の薬物に関して倫理委員会で調査、審議中と発表。井岡事務所は大麻使用や違法薬物の摂取を全面否定

同5月1日 井岡と対戦した田中が所属する畑中ジムはJBCに質問状を送付したと発表。「井岡選手のドーピング問題に関してJBCに対して大変疑念を持っている」と質問状を内容証明書で送付

同15日 畑中ジムの畑中会長が会見。8日にJBC側から回答を受け取ったとし、内容は「すべて納得できないもの」と不満をあらわに

同19日 JBC永田理事長らが会見し、倫理委員会の審議、調査の答申を発表。検査体制の不備を踏まえ「違反はなかった」と結論。処分せず、検査体制や情報管理の不備も認め、井岡や田中に謝罪。井岡も会見し「潔白が証明できた。今の体制で続けていくのは怖い」と発言

同20日 JBC発表を受け、田中は「混乱を招いたことは非常に残念」、畑中会長も「JBCの関係者はしかるべき責任をとるべき」と声明発表。JBCは公式サイトで報道各社に向け、おわび文書を発表

同28日 JBCが公式サイトで2度目のおわび文書を掲載

同31日 井岡の所属先Ambitionジム(現志成ジム)が、日本プロボクシング協会にJBCの役員退任などを求めた上申書を提出

同6月25日 井岡が日本外国特派員協会で会見。JBCの早急な対応、決着を求める。

同7月12日 井岡がJBC永田理事長と同席会見を開き、謝罪文を受け取る。井岡は「直接謝罪を求めてきた。すっきりした気分になるわけはないが、1つのけじめとして謝罪を受け入れたい。スポーツマンらしく、今後は前だけを向いて、防衛戦に勝つことに集中したい」と表明。