プロボクシング元世界4階級制覇王者・井岡一翔(34=志成)がドーピング検査で採取された検体が、大麻成分(THC-OOOH)の陽性反応を示していたと21日に日本ボクシングコミッション(JBC)から発表された件で、一夜明けた22日、JBCの安河内本部事務局長が取材対応した。

24日に東京・大田区総合体育館で昨年大みそか以来となるWBA世界スーパーフライ級王者ジョシュア・フランコ(27=米国)との再戦による挑戦を直前に控えた中での異例発表について、同本部事務局長は「昨年大みそかの試合の検査の結果を受け、ここまできちんと取り組んできた。試合への影響も考えましたが、これを試合後に発表したくなかったし、隠蔽(いんぺい)していると思われるのはよくない。検出されたことを否定するのは難しい」と説明した。

昨年大みそかに行われたフランコとのWBA、WBO世界同級王座統一戦終了後、1月26日に米国の特別検査機関でA検体を検査して検出。2月に入り、志成ジムには非公式に検査結果について伝え、井岡陣営とはコミュニケーションを図ってきたと強調した。大麻成分という筋肉増強剤などとは異なる薬物でもあり、2月20日に中立な第三者の専門家も交えたJBC倫理委員会を立ちあげ、その答申に従ってB検体を検査する病院、検査体制などと議論、調整を続けたことで時間を要したという。

安河内本部事務局長は「今後はガバナンスを維持しながらもっとスムーズにやらなくてはいけない」と課題を挙げた。

5月26日に井岡陣営に対し、B検体の検査立ち会いを正式に通知し、6月17日に都内にある大学病院で検査。再び大麻成分となるTHC-OOOHが検出されたという。ただし検出量が世界アンチドーピング機関(WADA)による上限の基準値よりも少ない量だったため「24日の試合を止めることはできないですし、かえって良いことではない。あとは井岡さんサイド、配信される会社がどう考えるかだけです」とした。

21日夜に発表したリリースでは「ドーピング禁止を定めるJBC第97条には違反しなかった」としつつ、第97条違反以外の各種規定違反を理由とする処分の可能性については検討中としたが、安河内本部事務局長は「ここでライセンスの長期停止の厳罰などは加えられない」とした。

井岡はWBO世界同級王者時代の20年12月、元世界3階級制覇王者・田中恒成(畑中)の挑戦を受けた際のドーピング検査でも簡易検査のA検体から大麻成分、その後のB検体の1部から禁止薬物が検出される「薬物騒動」があった。ただJBC側に検体の管理態勢の不手際や検査の不備が重なった。そのためJBCは違反と認めずに処分なしと発表し、記者会見を開いて井岡に謝罪していた。