世界3階級制覇王者のWBO世界同級王者テレンス・クロフォード(35=米国)が世界初となる2階級での4団体統一に成功した。長年のライバルでWBAスーパー、WBC、IBF世界同級王者のエロール・スペンスJr.(33=米国)と4本の世界ベルトを懸けて拳を交え、9回2分32秒、TKO勝ち。スーパーライト級に続き、2階級4団体統一を成し遂げた。

両者ともにサウスポースタイルで、クロフォードが2回にストレート気味の右ジャブでダウンを奪った。そのままペースをつかむと7回にカウンターの右アッパーでダウンを奪うと、さらに右フックでダウンを追加。9回に接近戦の連打を放ったところでレフェリーストップによるTKO撃破だった。

スペンスJr.に圧倒的な差を見せつけて4本のベルトを巻いたクロフォードは「前にも言ったが、神に感謝している。神がいなければこれは実現しなかった。世界王者を夢見ていたが、誰も信じてくれなかったが、ここまでこれた。ここまで実現してくれて感謝している」と感慨に浸った。

スペンスJr.対策は万全だった。右ジャブを警戒しつつ、逆に右ジャブを入れて2回にダウンを奪い「スペンスはすごいボクサー。彼のジャブは警戒していた。彼のジャブ対策が大きな焦点だった。うまく対処できた。練習を積み重ねた結果。フリック式のジャブも入れた。スタミナもあって強い王者であることを証明できた」と納得の表情。レフェリーストップによるTKO勝ちとなったことも「あの判断は良かった。止めてくれてよかった。パンチが連発していた。レフェリーが良い判断をしてくれた」と振り返った。

対戦待望論から5年間を費やしてたどり着いたライバル対決を制した。しかしリング上のクロフォードに笑顔はない。「いろんな感情が入り乱れている。神に感謝としか言えない。私の兄弟にもずっと見てくれてる仲間にもお礼をいいたい。今まで何度も何度も試練に向かって乗り越え、下を向かずここまできた。実力を世界に示すことができた」と放心状態だった。

契約には再戦条項がある。クロフォードは「今日はファンは喜んでくれたと思う。スペンスJr.のファンも大勢、やってきている。もし次、また対戦することがあれば実力伯仲させて私が勝ちたい」と口元を引き締めた。WBC、WBO世界スーパーバンタム級王者井上尚弥(30=大橋)も狙っていた世界初の快挙となる2階級での4団体統一を成し遂げても、まだ満足していなかった。