WBA、WBCライトフライ級統一王者の寺地拳四朗(BMB)が元同級世界2団体王者のヘッキー・ブドラー(南アフリカ)に9回2分19秒TKO勝ちした。WBOスーパーフライ級王者の中谷潤人(M・T)はアルヒ・コルテス(メキシコ)に3-0で判定勝ち。キックボクシングから転向2戦目の那須川天心(帝拳)はノンタイトル8回戦に臨み、ルイス・グスマン(メキシコ)に3-0の判定でデビューから2連勝とした。注目の日本人3選手が快勝した試合を、日刊スポーツ評論家の大橋ジム・大橋秀行会長(58)が解説した。
◇ ◇
寺地は盤石の横綱相撲だった。中でも出色は右ボディーブロー。右構えのボクサーで左ボディーブローがうまい選手は大勢いるが、あれだけ強い右を、抜群のタイミングで打てる選手は軽量級では見たことがない。パンチが強く、ワンツーも速い上、ボディーも左右に打ち分けられる。この階級では別格の存在だ。
ここ数試合は「倒すボクシング」を意識している。今回も距離を保って戦えばもっと楽に勝てたと思うが、被弾覚悟で倒すというプロ意識がKO勝利につながった。スピード、手数、そして倒す。今の寺地の試合にはボクシングの魅力がすべて詰まっている。4団体統一はもちろん、2階級上のスーパーフライ級でも十分に通用するだろう。
中谷は5回にボディーブローで2度ダウンを奪って油断したのか、6回にコルテスの右強打をまともに浴びてしまった。あれは相当ダメージがあったと思う。運が悪ければKO負けの可能性もあった。レフェリーが試合を止めるまで何が起きるか分からないのがボクシング。KO勝ちは逃したが、長い目で見れば今日はいい経験になったと思う。
那須川には倒し切ってほしかった。ダウンも奪ったのでパンチ力はある。あと2、3発まとめて打てばストップできたと思う。もっともディフェンス能力、パンチを外して打つタイミング、左ストレートと右フックのカウンターのスピードは尋常ではない。まだプロ2戦目で相手はメキシコ王者だったことを考えると、世界にいく逸材であることに疑いようはない。(元WBC、WBA世界ミニマム級王者)