元K-1スーパーバンタム級王者で前東洋太平洋同級王者の武居由樹(27=大橋)がボクシング転向からデビュー8連続KO勝利を挙げた。

バンタム級(53・5キロ以下)に近い契約体重で、マリオ・ディアス(28=メキシコ)との8回戦に臨み、2回2分23秒、KO勝ち。強烈な左ボディーをねじ込み、ダウンを奪って沈めた。先月に東洋太平洋王座を返上。WBA世界バンタム級10位を筆頭に世界ランクしており、来年は同級で世界挑戦のチャンスを待つ。

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強烈な左で倒した。2回に右フックを浴びてバランスを崩した後、武居はタイミングを探りながら踏み込んで左ボディー一閃(いっせん)-。ダウンを喫したディアスがうずくまる姿を横目に「早いラウンドで倒せて良かった。早いラウンドで倒すのは僕の目標」と安堵(あんど)の表情。ボクシング転向から8勝(8KO)無敗と100%のKO率をキープした。

今年11月、保持していた東洋太平洋スーパーバンタム級王座を返上した。1階級下のバンタム級で世界を狙う意思表示だった。世界戦を見据える上で「いろいろ経験した方がいい」と大橋秀行会長(58)に組まれたカードがメキシコ人との初対戦だったが、きっちりとクリアした。

武居は「リズムも変な、独特なリズムかなと感じましたが、ここ最近でも冷静に戦えた」と手応えを口にした。指導を受ける元世界3階級制覇王者八重樫東トレーナー(40)からの指示もきちんと耳に入ったとし「(セコンドの)八重樫さんから『下から』と言われ、ボディーが当たったら倒れました」と手応えを口にした。

WBA世界バンタム級10位をはじめ、世界主要4団体で世界ランキング入りしている。大橋会長は「24年には武居に世界戦のチャンスが訪れる」と“世界前哨戦”との意味合いが強かったリング。「心の準備はいつでもいけるぞと。でも技術は追いついていない。どんどんレベルアップしないといけない」と口にした。 八重樫トレーナーは「武居のボクシングで大きなとがったもの、武器を用意して、大一番に備えたい」と課題を挙げた。武居は「まだまだ完成形ではない。完成できるように精進したい。絶対、僕は世界ベルトを取ると思ってボクシングに来た。(井上)尚弥さんが持っていたベルトを取りたい」と24年を見据えていた。【藤中栄二】

◆武居由樹(たけい・よしき)1996年(平8)7月12日、東京・足立区生まれ。10歳の時、同区のPOWER OF DREAMジムの古川誠一会長の自宅に住み込み、キックボクシングの練習を開始。都立足立東高時代はボクシング部に所属。14年11月、K-1傘下のKrushでプロデビュー。17年にK-1スーパーバンタム級王座を獲得。17年のK-1年間最優秀選手に選出。キック戦績は23勝(16KO)2敗。20年12月にボクシング転向を表明し大橋ジム所属に。22年8月、東洋太平洋同級王座を獲得。身長170センチの左ボクサーファイター。