史上2人目の2階級での世界4団体王座統一を達成した統一世界スーパーバンタム王者の井上尚弥(30=大橋)が27日、横浜市内の大橋ジムで一夜明け会見に臨んだ。26日に東京・有明アリーナで行われた4団体王座統一戦でWBAスーパー、IBF同級王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)に10回KO勝利を収めた。

終始試合を優位に進めての圧勝にもかかわらず、4回に痛烈なダウンを奪いながら、タパレスの粘りにフィニッシュまで10回を要した試合内容に、一部ファンから「珍しく苦戦」「階級の壁か」という声も出ていた。

これに対して井上は会見で「タパレスは2団体のチャンピオンですよ。この試合内容でそんなこと言われたら、どうしたらいいんですか。それだけ自分への期待値が高いというのはうれしいですが、やりずらいですよ。無傷で、2団体チャンピオンを10回KOできたらよくないですか」と、苦笑いを浮かべながら反論した。

これには父の真吾トレーナーも「4回で終わったらマンガの世界になっちゃうからね。あそこからタパレスが頑張ってくれたから、経験踏まえて逆に良かったと思う」。大橋会長も「採点もジャッジ1人はフルマークだったし」とコメントを引き取った。

「1発2発パンチもらっただけで“ちょっと苦戦してるんじゃないか”とかマンガじゃないんだから」と井上が訴えると、隣の大橋会長は「でもそう感じちゃうんだよね」と反応して会場の笑いを誘った。【首藤正徳】