史上2人目の2階級での世界4団体王座統一を達成した統一世界スーパーバンタム王者の井上尚弥(30=大橋)が27日、横浜市内の大橋ジムで一夜明け会見を行い、10回KO勝ちしたWBAスーパー、IBF同級王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)との統一戦(26日、東京・有明アリーナ)に「70点」と辛口の自己採点をつけた。

ジャッジの1人が9回まで井上にフルマークをつける圧勝。「映像も見返して、自分がリング上で戦っているときに感じたよりも、すごい技術戦をやっているという印象。タパレスが相打ちで一発を狙ってきたので、最後まで気を抜かないように戦った。めちゃくちゃ楽しかった」と井上は無傷の顔で振り返った。

スーパーバンタム級に転向して2試合目で、リミットより6キロ重い61・23キロまで戻してリングに上がった。過去最高体重にも「今回は無理して増やしたわけではなく、自然と戻っていった。ベストですね。スピードも切れも落ちることなく、よりパワーに重心が乗る。本当にいいリカバリーができた」としっかりと手応えもつかんだ。

それでも井上は現状に満足することはなかった。「まだまだ昨日も試合を通して、もっとこうしたらいいというところが少なからず見えた。いろんな選手に対して自分のボクシングができるようなものをつくっていきたい。(今の時点の井上尚弥は)70点くらい。まだ30点の伸びしろはある」と想像以上に辛い点数を自らにつけた。

世界戦21連勝、19KOといずれも自らの持つ日本最多記録を更新したが「6戦目から世界戦をこなして、無敗でいるのは誇りに思う。その意味でも誰も超えられないような気持ちをつくっていきたい。でも記録は結果としてついてくるもの。そこを目指して試合をするわけじゃない。一番強い井上尚弥を見せたいというのが自分の中では一番強い」と、偉大な記録を積み上げてなお、さらに上を見ていた。【首藤正徳】