挑戦者の同級1位李健太(28=帝拳)がタイトル初挑戦でベルト獲得に成功した。同級王者藤田炎村(29=三迫)に挑み、3-0の判定勝利。4連続KO勝利中だった王者の強打をしのぎ、打ち合いで競り勝った。得意の左ストレートを軸に的確に連打をヒットさせて攻め続けた。アマ時代に高校6冠、日本記録の62連勝マークなどトップで活躍してきた有望株が、プロでも8戦目で日本王座ベルトに到達した。

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10回終了のゴング後、李は勝利を確信して右拳を握った。「めちゃくちゃうれしい」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。4連続KO勝利中の王者による攻勢で何度もロープ際に詰められながらも、持ち前の技術でかわし続けた。左ストレートを軸に連打を上下に浴びせて主導権を握り続けた李は「(藤田は)前評判通りに攻撃力がありましたね。少し自分をほめてあげて、次にいきたい」と右肩にかけたベルトをみつめた。

アマチュア時代に日本記録となる62連勝をマークするなど高校6冠で戦績102勝10敗という長身サウスポー。プロ転向後、元WBC世界バンタム級王者山中慎介を担当した大和心トレーナーとタッグを組み「山中2世」と呼ばれ、19年2月にプロデビューした。コロナ禍で試合ができない日々も乗り越え、約5年2カ月かけてプロ8戦目で日本王座に到達した。

激しいフルラウンドの打ち合いを制し、「ベルトはうれしいけれど、今日の試合内容では満足できず、課題ばかり。もっとこれから頑張っていかないといけない。本当に強くなって後楽園ホールに戻ってくる」と新王者の風格を漂わせた。【藤中栄二】