アジア最大の格闘技団体ONEチャンピオンシップは19日、都内で「ONE172:武尊VSロッタン」(3月23日、さいたまスーパーアリーナ)に向けたメディアデー(=選手がメディアに対応する日)を開催した。
「今大会でONEとは一区切り」という総合格闘家青木真也(41)は、ライト級MMAでエドゥアルド・フォラヤン(41=フィリピン)と、実に4度目の対戦(過去、青木の2勝1敗)を迎える。
青木は「何が今回の勝敗を分けると思うか?」という質問に「そういうの、どうでもいい。勝った負けたでやってないから、こっち。好きにして」と即答。続けて「俺は俺の表現をやってて、15分間で。エドゥアルド・フォラヤンとの15分間で、自分の思いも、彼の思いも、2人でしか作れないものも、で、僕のこれからの未来も表現するんすよね。15分しか尺がないから。その尺の中で、自分に後悔のないものがつくりたいんですよね」とフォラヤンとの“最後の作品”づくりへ向けた意気込みを示した。
母親が日本人ながら、日本的な情緒が感じられないONEのチャトリCEOと、試合へ向けて繊細な物語を紡いでいきたい青木との間には、マッチメークや青木の扱い方などをめぐって近年、すきま風が吹いている。
青木は「今回、自分の気持ち、自分が今、置かれている状態をどう表現しようかと考えたときに、入場曲を変えてやろうと思ったんですよ」と告白。「そしたら青木真也じゃないわけでしょ。ONEに対する最大のシュート(本気で相手をつぶそうとすること)だなと思ったんですよね」とその理由について説明した。 だが青木は思いとどまったという。「でも結局それは俺とONEなのか、俺とチャトリなのかの確執でしかなくて。お互いのぎくしゃくでしかなくて。客に関係のない話だから。客はさいたまスーパーアリーナで“バカサバイバー”で青木真也が入場してくるのを待ってるから。それを全うするだけですね」と話し、今大会もファンのために青木のニックネームにもなっているウルフルズの「バカサバイバー」で入場すると明言した。
これまでのキャリアを振り返り「正確には2003年からMMAをやってるんですけど、プロ格闘技は2006年からなんすよ。2006年から自分の名前で、自分の格闘技で仕事してるんですけど、やりきったっていう領域までやれた人が何人いるの? っていうと、首かしげるところあるじゃないですか。(自分は)そこでやりきったっていうところまでは触れてるんで。成熟というか、人が見えなかったものが見えたっていうのがあるんじゃないですかね」と、長い年月の末の自身の変化について説明した。
その上で「みんな言うよ『あ~勝ち負けから逃げたんだね』って。『で“表現”とか言い始めたんだね』って、みんな言うと思います。でも俺も20年? 何年も勝った負けた、滑った転んだ、やってきてるんだから。誰に言ってんだとも思うし。まだ俺にやらせんのか? とも思う。でも言っても分かんないと思うから、言うけど同意してくれとは思わないです」とシニカルな笑みを浮かべた。
青木はインタビュースペースからの帰り際、「格闘技に3段論法は通じないですから」とひと言。「(18年6月の試合で)ロッタンが天心に勝っていたと世界中でみんなが言っている(実際は天心が判定勝利)。その後、天心は武尊に勝った。もし今回の試合で武尊がロッタンに勝てばキックボクシング界最高の1人だという地位を手に入れ、この三角関係もより面白いものになるだろう」と3段論法を用いて今大会の見どころについて語ったチャトリCEOを皮肉り、ニヤリと笑って去っていった。【千葉修宏】

