プロボクシングWBC世界バンタム級1位の那須川天心(26=帝拳)が8日、東京・有明コロシアムでWBA世界同級6位ビクトル・サンティリャン(29=ドミニカ共和国)とのノンタイトル同級10回戦に臨む。今年11月の世界初挑戦を控え、最後のテストマッチとなるリング。「世界前哨戦」と銘打たれたカードで拳を交えるサンティリャンとは何者か? アマチュアで200戦以上を経験しているテクニックあふれるサウスポーとなる。
現在、バンタム級世界王者にサウスポーが多いことから、那須川の対戦相手として白羽の矢が立ったサンティリャンにとっても「世界前哨戦」として位置づけられるリングとなる。6月2日の来日時から「那須川選手は良いボクサーだが、私のキャパシティーと能力からすれば、簡単に勝つことができる」「彼が勝って世界挑戦するという希望を持ち続けるのは良いが、勝つのは私だ」と豪語。今年2月の前WBO世界同級王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)と戦った時の那須川のファイトスタイルを確認し「あれを見て勝てると思った」と自信を示している。
アマでは200勝25敗の戦績を残し、15年にはパンアメリカン競技大会のライトフライ級で銀メダルを獲得した実績がある。18年4月にプロデビューし、21年5月にはWBAフェデカリベ・バンタム級王座を獲得した。唯一の黒星で日本で味わった。23年6月、大阪で石田匠とのWBA世界同級挑戦者決定戦で1-2の判定負け。判定結果に不服を持ち、WBAに対して異議申し立てしており、自らは黒星として認めていない。
サンティリャンは「明確に勝つために100%のトレーニングを積んできた。まったくの疑問を出さないようにしなければならない。これは大きなチャンスなんだ」と那須川との世界ランカー対決を重要視している。アマ時代から米国、プエルトリコ、メキシコ、カナダ、ベネズエラ、アルゼンチン、ホンジュラス。アゼルバイジャンなど敵地などで戦ってきた自負がある。
サウスポースタイルで両カードを高めに据え、フェイントをかけながらワンツー、左アッパー、右フックと多彩なパンチを繰り出す。クリンチも得意で技術力も高い。攻守のバランスが安定しているサンティリャンに対し、那須川がいかに近い距離に入ってパンチをねじ込むことができるのか。それが勝負を分ける大きなポイントになりそうだ。
石田戦の来日時に日本文化に興味を持ち、首筋と右腕に日本語をモチーフにしたタトゥーがある。首筋には「難来る無いさ」と日本語で、そして右腕には「生きがい」とローマ字で刻まれている。沖縄の方言となる「なんくるないさー」についてサンティリャンは「気に入っている。ネット検索していて、この文が出てきた。気に入っているし、意味は知っている」と何度もうなずいた。
母国に妻と6歳になる長男を残し、コンビを組むビセンテ・デラクルス・トレーナーらと来日した。同トレーナーは現WBA世界ライトフライ級王者エリク・ロサ(25=ドミニカ共和国)ら計4人の世界王者を育成。名指導者のサポートを得ながらサンティリャンは「戦績の半分以上はサウスポーと戦ってきた。相手がサウスポーであることはまったく問題はない。これはエクセレントなチャンスなんだ」と気合十分。2度目の来日で負けるわけにはいかない。石田に敗れて1度は後退していた世界挑戦の好機をつかむため、気持ちの高揚感を胸に那須川と対決する。

