全日本の武藤敬司社長(48)が7日、都内で会見し、代表取締役社長を辞任すると発表した。5月29日の神戸大会の試合前、スーパー・ヘイト(41=本名・平井伸和)がTARU(46)に暴行を受け、試合後に急性硬膜下血腫で開頭手術を受けていた。この日、辞表を提出した武藤社長は「ファン、関係者の皆さまに申し訳ない。自分自身にけじめをつけるために、代表取締役を辞任します」と頭を下げた。

 辞任を考えたのは、TARUの暴行が発覚し、現場にいた稔(38)MAZADA(36)KONO(31)と合わせ4人の無期限出場停止と王座剥奪を決定した今月2日という。「最初は何が何だか把握できてなかった。徐々に悲惨な状況が分かり、断腸の思いで選手を処分したとき」と説明した。

 後任社長には、問題の処理に当たっているフロントのトップ、内田雅之取締役(49)が昇格する。武藤社長は取締役としては残り、「レスラー武藤敬司」として活動する。「これからも立場は変われど、全日本のために頑張る。今は一刻も早く平井の元気な姿を見たいと思います」と話した。

 スーパー・ヘイトは、いまだ意識が回復していない。管轄の警察は動いておらず、内田取締役は「司法が動いたら協力させてもらう」と明言した。すでにカズ・ハヤシ(38)船木誠勝(42)諏訪魔(34)近藤修司(33)ら現場の指導的立場のレスラーに協力を要請。「一連の騒動を受けて、管理の強化を実践、チェック機能を強化した」と再生へ向けて歩み出している。【小谷野俊哉】