西前頭2枚目宝富士(29=伊勢ケ浜)が、横綱白鵬(31=宮城野)の連勝を「33」で止めた。警戒したのは、右かち上げ。立ち合いで普段より体を起こし、左腕をぶつけてガードに成功すると、白鵬の右腕をたぐって小手投げで自身2個目の金星。小結だった今年春場所初日に破って以来、再び白鵬に土を付け「やっちゃいましたね。前もかち上げだったし、横綱は頭から来ると思っていたと思うので、慌てさせられたのかな」と興奮を抑えるように振り返った。

 一撃必殺の“宝刀”対策を思い付いたのは、前夜だった。4日目の取組後に宿舎へ戻ると、偶然にも白鵬戦の映像が流れていた。目にしたのは、鼻から流血する栃煌山の姿。「怖くなった。(かち上げに)当たりたくないなと思って。寝る時に『こうしたらいいかな』と考えました」。早めに会場入りして練習も済ませ、迎えた土俵。立ち合いも少し腰が引けたような形になったことが奏功して、相手の左張りも回避できた。16本(手取り48万円)の懸賞も獲得して「貯金です。守りですよ」と、土俵外でもガードの堅さを披露した。

 1横綱2大関を撃破して「これで横綱(日馬富士)と大関(照ノ富士)の援護射撃になったかな」と謙遜したが、12年夏場所の旭天鵬(西前頭7枚目)以来となる平幕優勝も十分に狙える。「明日からが大事になってくる」と、かぶとの緒を締めた。