大相撲夏巡業が2日、富山市で行われ、ご当所力士の十両朝乃山(23=高砂)が声援を一身に浴びた。会場の外に掲げられたのぼり数は、27本中15本と半数以上で、地元テレビ局を含めカメラ6台が朝乃山の動向を追い、人気はまさに横綱級。朝稽古前の握手会会場に登場すると人だかりができ、握手会が終わると、大勢のファンに囲まれて即席サイン会が行われた。昨年は4000人だった観衆も今年は1500人増の5500人と大フィーバーだった。

 朝稽古では十両の申し合い稽古で土俵に上がると、ファンから拍手で歓迎された。稽古とは言え、負けると会場中からため息が聞こえ、勝つとその度に拍手をもらった。稽古を終えて「関取になって迎えられたので良かったです。これだけ応援してくれてうれしいです。これだけの人が集まってくれたので来場所も頑張りたい」と地元ファンからパワーをもらった。

 稽古後には、人生初の子ども相撲に参加した。「どうやっていいか分からなかった」と話したが、取組中にファンに向かって手を振ったりする芝居を入れて、会場の笑いを誘った。胸を出した子どもの中には、大学時代から知っている子どもがいて「強くなっている感じがありました」と感慨深げだった。

 名古屋場所は優勝決定戦で負けて十両初優勝は逃したが、自己最高位の西5枚目で11勝4敗と大きく勝ち越した。秋場所(9月10日、東京・両国国技館)での新入幕の可能性があり「(もし上がれたら)幕内でどれだけ通用するか試してみたい」と意気込みを見せた。