新入幕で東前頭16枚目の朝乃山(23=高砂)が、ライバル対決に快勝し2勝1敗と再び白星を先行させた。

 昨年春場所、同じ三段目最下位格(100枚目)付け出しでデビューし、学生時代も近大と東農大でしのぎを削った、西前頭15枚目の豊山(23=時津風)との対戦。「朝からずっと、負けたくない気持ちが強かった」と気合は十分だったが、取り口は冷静そのものだった。差されると分が悪いとみた豊山が突き放しにくると、朝乃山もそれに対応。1度は左を差して寄り立てたが、左からの強烈なおっつけ、はず押しで攻め立て「いなして崩したら(相手が)落ちてくれた」という押し倒しで、記念すべき幕内初対戦で白星をもぎ取った。

 開口一番「気持ち良かった」と朝乃山。「前に出てるから、あの相撲を取れた。ライバルに勝つ白星は(喜びが)違います。(仕切り中に)豊山の声援がすごかったから“なにくそ”と思ってました」と喜色満面に浮かべながら、喜びをかみしめた。

 初土俵は同じだが、2場所連続全勝優勝(三段目と幕下)した豊山には、幕下、十両、幕内と、各昇進はいずれも2場所遅れ。今場所、ともにそろっての幕内だが、豊山は再入幕、朝乃山は新入幕。ライバルの後塵(こうじん)を拝しているだけに「今場所(後)か来場所、1枚でもいいから(豊山より)番付上になりたいです」と場所前の誓いを繰り返した。初土俵の昨年春場所は寄り切りで敗れたが、2度目の対戦となった十両時代の先場所は初日に寄り倒した勢いで、8日目まで白星を並べた。そしてこの日の勝利で、ライバル対決は2勝1敗で勝ち越し。勢いに乗り、まずは勝ち越しを目指す。