大相撲の横綱日馬富士関の暴行問題で、ビール瓶などで殴打され、頭部にけがを負った平幕貴ノ岩関は師匠の貴乃花親方(元横綱)に対し、10月下旬に暴行を受けた当初、「転んだ」と報告していたことが15日、日本相撲協会理事の話で判明した。

 日馬富士関も師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に暴行の事実を打ち明けておらず、双方の弟子による報告の遅れも協会の鈍い対応に影響を及ぼした可能性がある。

 2人の師匠が鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)から電話で事情を聴かれたのは3日。協会幹部によると、伊勢ケ浜親方はここで初めて事実を知り、貴乃花親方は「よく分からない」と答えたという。

 しかし、関係者によると、貴乃花親方は鳥取県警に10月29日に被害届を提出しており、つじつまが合わない部分が残る。

 貴ノ岩関にも“謎”が少なくない。暴行翌日は頭部や顔面などに目立った外傷はうかがえず、秋巡業で取組もこなした。その後も巡業に参加し、福岡入り後は稽古場に下りたとの情報もある。入院は暴行から約10日後という点も不可解で、今後の警察の捜査や協会の調査が注目される。