西十両14枚目の若隆景(23=荒汐)が待望の「関取初白星」を挙げた。

 新十両の土俵に上がって4日目。3連敗で重苦しい中でも、迷わず165キロの西十両12枚目・朝弁慶(29=高砂)に頭からぶつかった。再十両の相手も3連敗中で何とか初白星をつかみたいところ。「湘南の重戦車」の異名を取る朝弁慶のぶちかましに突き放され、徐々に後退した。バランスを崩し絶体絶命のピンチの中、強靱(きょうじん)な足腰で何とか残すと、相手の左腕を手繰りながら右へいなし正対すると、右のまわしが上手に掛かり前進。迷わず体を預けるように寄り倒した。

 行司も場内アナウンスも舌をかみそうな「ワカタカカゲ~」の勝ち名乗りを受け「1つ勝ててホッとしました。(ここまで)焦りはなくはなかった。早く1つ勝ちたいなと思っていたので」で、偽らざる胸中を吐露した。

 121キロの軽量で、速い動きから勝機をつかむ相撲が持ち味。ただ、幕下までとレベルが違う十両相手ということに加え「自分が硬くなって動けていないのも(この3日間は)あった」と話すように、納得できる本来の相撲からは遠かったようだ。

 そんな硬さも、1つ勝ったことで吹っ切れそうだが「今日は迷わなかったのが良かった」と評価しつつ「明日、取ってみないと分からないです」と気を緩めることはできない。十両最下位の西14枚目で、負け越せば即、幕下陥落が待っている。「まだまだ立ち合いから、もっと攻めないといけない」と引き締めた。