今年1月の初場所前に引退した元前頭北太樹(35=山響)の引退断髪式・年寄「小野川」襲名パーティーが3日、東京・両国国技館で行われた。断髪式では初めに、元北太樹の小野川親方が長男英慶くん(2)を抱っこして土俵入りを行った。本来ならばその後、英慶くんと引退相撲を取る予定だったが、泣かれてしまい急きょキャンセルになるプチハプニングが発生。それでもその後は無事に、約300人にはさみを入れてもらい、最後に師匠の山響親方(元前頭巌雄)に止めばさみを入れてもらった。

 現役時代を振り返ると思い出すのは、先代師匠の故北の湖親方(元横綱)だ。「先代じゃないと見えない目線もある。先代ならどういう目線で見てくれたかな、と思うときもあった」と引退間際にはよく、先代師匠のことが脳裏に浮かんできたという。さらに「基礎が一番大事というのを教えてもらった。毎日毎日の取組もそうだし、熱い思いで土俵に上がる力士を育てたい」と、先代師匠の教えを胸に親方としての道を歩む。

 断髪式には親交の深い、横綱稀勢の里も参加した。稀勢の里は「相撲に対して真面目でお手本になる力士でした。寂しいですね」としみじみ。年に1、2回は相撲について熱く語り合う時もあったといい「気持ちの部分とかで学ぶことがあった。これからも親方としていろいろとお話しできれば」と話した。