東前頭3枚目の阿炎(あび、24=錣山)が、横綱鶴竜を破り、先場所の横綱白鵬撃破に続き、2場所連続で金星を挙げた。もろ手突きの立ち合いから、1度は押し込まれながらも、回転の速い突っ張りで前に出続けて突き出し。16年九州場所から約1年間、付け人として身の回りの世話をしていた鶴竜を破った。

 「とにかく攻めようと思っていた。攻めて負けたら仕方ないと思って。負けることは想像していなかった。ずっと勝つイメージを持ってやってきた」と胸を張った。

 付け人を務める直前には、幕下で負け越しが続き、引退も考えていたという。そんな中で、鶴竜のまじめな性格などにふれ「鶴竜関を越えることはできないので、戦って勝つことが夢の1つになった」と、目標ができた。鶴竜の付け人だった当時を振り返り「あの時代がなかったら相撲をやめていたかもしれない。鶴竜関には感謝しかない」と尊敬する。それだけに花道やテレビのインタビューなど、人目にふれる場面ではこらえたが、花道の先で「こらえきれなくて」と、涙を流したことを明かした。

 「白鵬関に勝った時もうれしかったけど、また少し違ううれしさがある。(鶴竜は)自分にとっては大きな人なので」と、普段の破天荒な言動は控えめに、喜びをかみしめていた。