関脇経験者で西幕下7枚目の豊ノ島(35=時津風)が、1勝1敗で迎えた今場所の3番相撲に登場。

 十両経験のある同9枚目の出羽疾風(29=出羽海)を突き落としで破り、再び白星を先行させた。

 立ち合いの出足でまさった。鋭い踏み込みから相手を土俵際まで押し込む。相手が粘ろうとするところを、反動を効かすように右から突いて前のめりに倒れさせた。

 白星発進から前回の2番相撲は、前に出たものの、はたかれて負けた。「前に出ての負けなら悔いはない」と話していたが、部屋に戻ると思考がグルグル頭の中を駆けめぐった。自分が発した言葉に、強くこだわる必要はないと1度は思い「前に出るばかりでなく慌てないのも大事かも。考えてみれば、前に出る相撲は自分らしさではないし」という考えが頭をよぎった。

 だが、その考えに待ったをかけ、思いとどまったのも自分だった。「(考えが頭の中で)1周、回ってね。もう瀬戸際なんだから、受けた相撲で負けたら悔いが残るだろうと。ここに来て、相撲の基本に戻って前に出れば結果が出ると信じようと。そうすれば今日みたいに結果が出る。相撲人生、1周回って、そこに立ち戻りました。それが大事だと。いい勉強ですよ」。試行錯誤しながら、関取復帰への道を切り開く。