三役経験者で東幕下5枚目の常幸龍(29=木瀬)が16年夏場所以来の十両復帰を濃厚にした。

 新十両を目指す極芯道と3勝3敗同士の7番相撲に勝って、4勝3敗とした。「最後に自分の相撲が取れました」と目を赤くした。3連勝し、3連敗した後の4勝目。「3連勝した時は少し気持ちが楽になりました」というが、幼稚園に通う長男に「あと4勝で優勝だね」と電話で励まされたといい「ほんと、そんな簡単に言うなよ」と苦笑いで、苦労の末の勝ち越しを振り返った。

 日大相撲部出身で2年の時に学生横綱に。プロでは11年名古屋場所の序ノ口デビューから27連勝を飾るなど、14年秋場所には小結として新三役。ところが、16年初場所で右膝を負傷、同年夏場所後に手術に踏みきり、2場所連続休場後に復帰した同年九州場所では西三段目23枚目まで番付を落とした。

 「手術した時は勇気がいったし“戻ってこれなかったら…”と不安でいっぱいでした。この2年間、きつかったですが、僕よりきつい人は社会にいくらでもいると思い、我慢してきた」。幕内土俵入りをテレビで見るなど悔しさを胸に刻み、復活の階段を上った。

 今年2月には次男日彩(ひいろ)君が誕生。守る家族が増えた。十両で迎えることが濃厚な来場所へ。「(関取が締める)白まわしを買いに行かないと。手術の後、験が悪いから捨てたんです」。15年名古屋場所では、今場所優勝の御嶽海を十両で破った男が、次は幕内復帰を目指していく。