右膝負傷で5日目から休場し、4日ぶりの再出場となった新大関貴景勝(22=千賀ノ浦)が、再休場する見通しとなった。

十分に四股を踏めないまま臨んだ碧山戦は、相手の変化についていけず、はたき込みで敗れた。9日目の朝に病院で検査を受け、最終決断する。横綱鶴竜と関脇栃ノ心が初黒星を喫し、平幕の朝乃山を含めて1敗が3人となった。

帰ってきた今場所の主役は0・8秒で散った。右足の半分近くを覆ったテーピング。貴景勝は、あっけなく土俵に這った。碧山が変化するイメージは「あった」が、ついていけなかったのは「自分が弱いからかかった」と潔く言った。

取組前の準備運動が違和感を物語っていた。この日の朝は稽古場に下りず、取組前の支度部屋では軽いすり足に立ち合いの確認、腕立て伏せを数回。土俵上で四股を踏む際、右足は上げ下げしなかった。右膝関節内側側副靱帯(じんたい)損傷と診断されて3日。ぶっつけ本番だった。

今場所を休場して、かど番となる来場所での復帰を望む声も耳に届いていた。それでも、相撲を取れる確信と、貫きたい相撲道があった。「幕下以下の時から休まずに出たことが今につながっている。必ずこの経験が何年後に成長させてくれるかなと思った。休むのは簡単。自分がこういう相撲人生をしたいという考えを持ってやるだけ」。

師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)によると、取組後は部屋に戻り「痛みはありません。明日もやるつもりでいきます」と出場へ意欲を示したという。しかし、今後の力士人生なども考慮して休場を勧める声も多く、治療を優先する方針へ傾いた。9日目の朝は稽古場に下りず、病院で診断を受け、「話して決める」(千賀ノ浦親方)。再出場の判断は正しかったのか-。まだ22歳。ケガを治せば、挽回する機会はいくらでも残っている。