大相撲の横綱鶴竜(34=陸奥)が、春場所(8日初日、エディオンアリーナ大阪)の無観客開催決定から一夜明けた2日、大阪・堺市の部屋で稽古後、報道陣の取材に応じた。

力士会会長でもあるだけに「(無観客開催が)はっきりと決まったので、あとは準備してやるだけ。力士は、言われた以上、やるだけ」と、全力士の思いを代弁するように真剣な表情で語った。

それでも、無観客は初体験だけに「全く想像できない」と、困惑も隠せない。前相撲や序ノ口など、開場後間もない取組と似た雰囲気とも想像されるが「序ノ口でもお客さんはいるから」と、無観客との違いは大きいと強調。八百長問題を受けて11年3月の春場所が中止、同5月は技量審査場所として無料で開催された。当時も鶴竜は幕内だったが「あの時もお客さんは入っていた。無観客は全くの未知。これから考えていきたい」と、今後どのような準備が必要かを模索していくという。

自身は横綱白鵬と交互に結びの一番を取ることになる。大歓声の中での取組が日常となっているが「時間(いっぱい)になったら静かになるから(無観客と)一緒だと思う。テレビの前で応援してくれていると思ってやりたい」と、集中力を欠く不安はない。

この日の稽古は報道陣非公開で行われたが「土俵の中の稽古を充実させて臨みたい」と、通常の場所前と変わらず、今後は時津風部屋や追手風部屋などを候補に、出稽古で仕上げていくつもりだ。稽古後は、サインを求めたファンに渋々断りを入れた。「サインしたり、写真を撮ったり、ふれ合うことができないのは申し訳ない。こればかりは仕方ない」と、ファンに理解を求めた。「とにかく1日1日。今はやることをやっていくしかない」。自らに言い聞かせるように話していた。