西前頭3枚目の御嶽海(27=出羽海)が、7場所ぶりに初日から3連勝を飾った。関脇正代を押し出し、横綱白鵬、関脇朝乃山ら他7人とともに無敗を守った。新型コロナウイルスの感染を懸念し、外出を控えているが、大阪・堺市の部屋では若い衆とトランプのばば抜きなどで楽しみつつ、勝負勘を養っている。独自の調整法で、史上初の無観客開催にも順応している。横綱、大関の3人はそろって勝った。

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現在の心理状態を体現するような内容で、御嶽海が完勝した。立ち合いで頭から当たると、攻め続けた。引いて体勢を立て直そうとする正代を右からおっつけて崩し、体を密着させて押し出し。「我慢して前に出られた。ゼロから、イチからやるしかない。我慢する自分の相撲をしっかりと、つくり直していきたい」。先場所は15年春場所の初土俵以来、初めて2場所連続負け越し。取組内容も屈辱も「我慢」で乗り越える。

新型コロナウイルスの感染拡大で外出できず「(ストレスは)たまるよね」という。だが逆転の発想で、部屋では「若い衆と和気あいあいと消灯時間までトランプしている。修学旅行ですよ」と周囲のストレス発散にも努めた。午後10時まで、ばば抜きなどで楽しむが「全然勝てない。普段、顔に出やすい人が、ばば抜きだと出ない。面白いね」と分析。勝負勘を養うのに役立つか問われると「そうですね」と認め、遊びを独自の調整法に昇格させた。

昨年九州場所まで17場所連続三役と、昭和以降歴代2位の在位記録を残した。優勝も2度経験したが大関とりは失敗。「稽古嫌い」と言われたが、今場所前は追手風部屋に3度出稽古。「プライドを捨てて、もう1回上を目指したい」。関脇以下では初の3度目の優勝を目指す。【高田文太】