序二段から史上初の再入幕を果たした東前頭17枚目の照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、東前頭12枚目佐田の海を寄り切りで破って勝ち越しを決めた。幕内で勝ち越すのは大関だった17年夏場所以来、約3年ぶりとなった。

立ち合いでまずは左上手をがっちりつかむと、右を差して一気に前へ。佐田の海に何もさせずに、土俵外へと運んだ。「今場所一番よかった」と手応えを実感。目標としていた勝ち越しを決めて「一生懸命やってきてよかった。まだ場所はあるけどね」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

両膝の負傷や内臓疾患などにより、番付を序二段まで落とした。4場所連続全休も経験するなど、引退を決意したこともあった。それでも師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に励まされて再起。そして、場所前に師匠と約束した勝ち越しを決めた。「親方のことを信じてやってきて良かった。やってきたことを信じてやるだけだった」としみじみと話した。