看板力士が次々と消える寂しい土俵を東十両13枚目の宇良(28=木瀬)が「居反り」の大技で盛り上げた。旭秀鵬を相手に決め、3勝2敗と白星を先行させた。十両以上では93年初場所の十両智ノ花(元小結智乃花、現玉垣親方)が決めて以来27年ぶり。新大関正代(29=時津風)が左足首の負傷で休場。2横綱2大関が不在となった場所を、16場所ぶりに関取復帰の業師がわかせた。

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ついに大技がさく裂した。後ろ向きの宇良が、思い切り背中を反らして旭秀鵬を投げ飛ばす。衝撃の光景だった。

「自然に体が動いた。危ないですけどね。自分でもびっくりした。あれを稽古場でできるわけないし、難しいですよ」

十両以上で27年ぶりの大技「居反り」。角界入りする前の宇良の代名詞でもあった。関学大時代の13年10月、軽量級で優勝したロシアでの世界大会で居反りを決めた。マツコ・デラックスと有吉弘行の人気テレビ番組で「マンガみたいな取組」と取り上げられ、一気に知名度を上げた。16場所ぶりに関取復帰を決めた場所前も「居反りも使っていきますよ。全く封印してない。バンバン使っていきます」と宣言していた。

両膝の大けがで最高位東前頭4枚目から序二段まで落ちた。元来、驚異的な運動能力を誇る。相撲と同時に小学3年から始めたレスリングが土台。手は使わず、頭を支点にしたバック転の動画も大きな話題になった。地獄からはい上がり、その天才的な能力もよみがえってきた。

「ついに出たというか、何とも言えないですね」と照れ笑い。両足のほとんどをテーピングが覆うように両膝にいまだ“爆弾”を抱える。それでも普通の力士にはない、魅力を放つ。2横綱2大関が休場と寂しくなった土俵を熱く盛り上げた。「期待してもらっては困りますね」と言うが、さらなる大技への期待は高まる。【実藤健一】

 

◆居反り(いぞり) 相手が上からのしかかるように攻めて来た時、しゃがみ込むように腰を落とし、両手で相手の膝を抱えて担ぎ上げ、後ろに反って倒す技。日本相撲協会公式サイトにも「滅多に見られない大技です!」とある。