大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)まで10日となった29日、平幕の千代の国(30=九重)が朝稽古後に、報道陣の電話取材に応じた。

3月の春場所は、8勝目を挙げ勝ち越しを決めた翌日の13日目から休場した。「右母趾(ぼし)脱臼、左肋骨(ろっこつ)骨折」の診断だった。右手親指は5日目の竜電戦で突いている途中で痛め、左脇腹は「10日目ぐらいより前から、ちょっとおかしいなという感じがあった。右手の親指が痛くて右が使えない分、ちょっと左の脇の方に負担がかかっちゃったのかなと思う」と言う。5日目に右手親指を痛めたが「ケガしてからの(相撲)内容が悪すぎる。引きとか逆転が多くなってきて、体に負担が倍以上かかって、結果的に休場となっている。まずはケガをしないということ」を先場所の反省点とした。

膝のケガで幕下以下に落ちるなど、幾度も泣かされてきた。克服するのに「少しずつ少しずつ、コツコツコツコツという感じで」と話すように、焦りや気負いを自制する大切さを自分に言い聞かせた。それは「今回のケガで、より意識するようになった。前のケガより、よりいっそうという感じで。前は『休んじゃダメ、休んじゃダメ』と無理して(本当の)心の声を聞いてあげられなかった。今は毎日、体の声を聞いてあげながら無理しないで毎日続けている」と継続の重要性を理解した。

春場所は8勝5敗2休で、1点の勝ち越しだった。それでも番付運が味方し今場所は、東前頭9枚目から西前頭3枚目と、一気に6枚も番付を上げた。最高位は4年前の同じ夏場所の東前頭筆頭で、上位総当たりは約3年ぶり。久々に、荒々しい敢闘精神あふれる千代の国らしい相撲が、幕内後半戦で見られる。「特に気負いとかはないけど、どこまで通用するのか。変に気負っちゃうとダメなので、いつも通りじゃないですかね」と自制を言い聞かせる一方、念願の新三役への思いは「もちろん、もちろんですよ。ずっと本当に、ここ何年も目標にしていることなので」と意気込みは隠せない。

愛夫人と長女との公園遊びが、つかの間の息抜きになっているという。「もうね、子どもは公園が好きなんで。出来るときは公園に連れて行ってあげています。その時は相撲のことも考えないし、息抜きになる。一緒に散歩したり」と笑いながら父親の一面ものぞかせていた。