大相撲の横綱白鵬(36=宮城野)が、東京オリンピック(五輪)の柔道会場に姿を見せたことをSNS上で露呈され、物議を醸している。

2日、報道陣の電話取材に応じた日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が「勘違いということじゃなくて常識、非常識が全く分かっていないということ。決められたルールを守ってない。ルール破りの常習だよ。大きな問題だよ。(コロナ感染が)大変な状況なんだから。勘違いとは違う。そんな、やさしいもんじゃない。決まりごと、それも国の中の決まりごと」と厳しく断じた。

ネット上に白鵬が柔道会場にいたことが判明したのは先月28日のもの。国際柔道連盟(IJF)のマウリス・ビゼール会長の公式ツイッターで、男子73キロ級金メダリスト大野将平を、左に白鵬、右にビゼール会長ではさむ形のスリーショット写真が掲載された。

番付発表日から千秋楽までの約1カ月間、協会員は原則的に外出が禁止されているが、場所後の約1カ月間は師匠の許可さえ取れば外出が可能となっている。白鵬はモンゴル五輪委員会のアンバサダーを務めており、15年9月に日本オリンピック委員会(IOC)とモンゴル五輪委員会がパートナーシップ協定を結んだ際には調印式に出席したこともある。

今回もアンバサダーの立場として柔道会場の日本武道館に訪れたと見られるが、電話取材に応じた宮城野親方(元前頭竹葉山)は、白鵬に外出の許可を与えたか問われると「私からは話すことはできない」と明言しなかった。

不明な点はあるものの芝田山広報部長は「政府が無観客でと決めた。それで(それなのに)入っていて選手と写真を撮っているのが(SNSに)上がっている。だめでしょ」とし、届け出については「行くのなら申請書を出して、こちらで審査しないといけない状況。例えば政府からの申請なら別だが、単なるモンゴル選手団からの要請では駄目でしょう」と申請書の提出がないことに疑問を呈した。

さらに会場を訪れた白鵬の立ち位置について「組織委員会の何かをしているのか? JOCは? やっているわけない」と推察した上で「そこにいるのが、おかしい。世間一般の方々に対して、無観客と言っているのに、そこに行くことが大きな問題であるということを、本人がどのくらい理解している気持ちがあるのか。そんな気持ちがないなら横綱としては失格ですよ」と断じた。

広報部長の口調は、さらに熱を帯び、名古屋場所後の横綱審議委員会(横審)で痛烈に批判を浴びたことにも言及。「14日目、千秋楽の相撲内容、立ち居振る舞い、横綱としては目を疑う、というくらいの話をしている。その後に、こういう行動をしている。我々は勝手な行動を止められない。横綱としての立場も失格だし、協会員の立場も失格じゃないの? と言われてもおかしくなくなる。上が辛抱しているから、おまえたちも辛抱しろと言えない」と続けた。

同広報部長が「『横綱だったら何でもできるのか』という書き込みもあった」と話すように、この件でSNS上では「白鵬はモンゴル五輪委員会のアンバサダーなので関係者」「白鵬が五輪を見に行っていた。何でもありだな」「このような行動を取るから真の横綱とは見られない」「キャバクラ行ったのは駄目でスポーツイベントの観戦はあり?」「一力士にしか過ぎない白鵬がなぜ柔道観戦してんだよ。またお得意の特例かよ」…など批判の声が噴出している。