前日27日に現役引退と年寄「佐ノ山」襲名が承認された元小結の千代鳳(29=九重)が28日、引退会見に臨み、兄の千代丸(30=九重)への感謝の思いを語った。

会見では冒頭で「だいぶすっきりしています。ケガに悩まされてしんどかったので、今はやり切ったと思っている」と心境を語った。

引退の決め手となったのは、今場所の番付発表後に痛めた腰の状態。「気持ちも切れてしまったので、限界だなと思った。膝も肩もボロボロで、相撲でも全然体が動いてなかった」と明かした。

13年の力士人生で、兄の千代丸は大きな存在だったという。「負けられない存在でもあったし、自分がしんどいときも励ましてくれて、いいお兄ちゃんだった」。印象に残っているのは入門直後、自身が膝の手術をして入院しているときのこと。「毎日自転車で弁当を持ってきてくれた。(部屋の)夜ご飯で作ったやつを、弁当に入れてくれて持ってきてくれた」。千秋楽はつかないが、14日目まで兄の付け人としてサポートしていた。「ケガしないで欲しいなと思って見ていました。(今後は)一緒の三役力士になってほしい」とエールを送った。

鹿児島県志布志市出身の千代鳳は08年夏場所で初土俵を踏み、兄の千代丸と兄弟幕内として人気を集めた。12年春場所が新十両、13年夏場所が新入幕で、14年夏場所が新三役。力強い突き押しで活躍した。ケガの影響もあり、5月の夏場所後に幕下に陥落。東幕下12枚目の今場所は1勝6敗だった。

会見に同席した師匠の九重親方(元大関千代大海)は「同世代では一番出世が早くて、番付をどんどん上げてくれた。部屋ではすごく功績がある力士だった。最後はケガに苦しんで土俵から降りることになるけど、このキャリアを次の世代につなげてほしい」と、部屋付き親方として今後の指導力に期待した。