大関貴景勝(26=常盤山)が、3日目から8連勝で1敗を堅持。9勝目を挙げ優勝争いで単独トップの座を守った。

流血する激しい相撲もあれば、相手の動きをよく見て冷静にさばく相撲も光る今場所の貴景勝。この日の小結明生(27=立浪)戦は後者の方だった。

ここまで対戦成績は5勝5敗の五分。この日も明生の鋭い出足を受け、押し込めなかった。左をのぞかせ右を差し攻め立てる明生に対し、下がりながらも貴景勝は冷静に対処。差し込んだ明生の右腕を小手に巻き、回り込みながら投げ飛ばした。

「よく辛抱している。ここ1、2年は昔みたいに、いっぺんに持って行く相撲は少なくなったが粘り強く、相手につかまらないような押し、我慢して押し合うことを身に付けた」。報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、取組前に、1人大関として奮闘する貴景勝を、こう評していた。取組後は「貴景勝は焦っていない」と精神的な充実ぶりを端的に評価。「明生はまわしにこだわった。こだわってもいいんだけど、貴景勝は焦らなかった」と再度、大関の冷静さを読み取っていた。

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