優勝争いでトップを並走していた大関貴景勝(26=常盤山)が、よもやの連敗で3敗目を喫した。

小結霧馬山(26=陸奥)との一番は、いつもの破壊力ある立ち合いの押しが効かず、上体だけで押すことで霧馬山に応戦された。土俵中央で右脇が空いたまま出ようとする大関のスキを突くように、霧馬山が左を差し込んだ。前のめりになった大関を、体を開きながらすくい投げで転がした。

9日目に単独トップに立ってから、わずか3日で状況は暗転した。前日11日目に琴ノ若に敗れ阿武咲とトップ並走。そしてこの日の連敗で、優勝争いで中学時代のライバルだった阿武咲の後塵(こうじん)を拝することになった。

もっと大きなダメージは、場所後の横綱昇進が絶望的となったこと。ハイレベルの優勝が求められ、前日2敗の時点で絶望的といえたが、この日の3敗目で事実上、望みが絶たれことは、この日の幕内後半戦の審判長を務めた審判部の佐渡ケ嶽部長(元関脇琴ノ若)の言葉からも分かる。「昨日、今日と貴景勝は足が出ていない。だから脇が空いてしまい霧馬山にすくわれた。(前日2敗目を喫し)今日は負けられない、と硬くなったみたいだ」。この一番をこう分析した上で、綱とり問題について問われると「こういう負け方を見せられてしまうと厳しいですね」と明言した。

ただ、出場する力士の中で番付最上位の1人大関として、千秋楽まで優勝争いを盛り上げる責任がある。そこに期待し、同部長は「もともと気の強い力士。出直して大関の責任をはたしてもらいたい」と要求。早速、それを具現化する一番が13日目に組まれた。1差で追う立場になった阿武咲戦だ。「明日は自分の手で(阿武咲を3敗に)引きずり下ろしてやろう、と思ってやってくれるのではないか」と再びトップ並走の大関を期待していた。