西十両8枚目の「令和の怪物」落合(19=宮城野)が、昭和以降最速となる、所要3場所での来場所新入幕を決定的にした。

本割は前に出続けて欧勝馬を押し出し。14勝1敗とし、取組前まで十両優勝争いの先頭で並んでいた豪ノ山の結果を待った。豪ノ山も14勝1敗とし、迎えた優勝決定戦は押し出しで敗れた。立ち合いから突いて出てきた相手に防戦一方。最後は土俵際で弓なりになって粘ったが、最後は体ごと圧力をかけられて土俵下まで吹っ飛ばされた。

取組後は、本割に勝って14勝としたことは忘れたように開口一番「負けた。それだけです」と、唇をかんで話した。豪ノ山には、初顔合わせの先場所から、今場所の優勝決定戦を含めた2敗を合わせて3連敗。「自分の方が豪ノ山関よりも弱い。それだけだと思う」と、悔しさを押し殺して話した。

優勝決定戦を終えて引き揚げる西の花道では、師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)から「いい経験だ」と声をかけられた。落合も「自分自身も、いい経験をさせてもらえたと思う。絶対にこの悔しさは、これからの相撲人生に生きてくる。最後に自分の弱さを突きつけられた、いい負けだった」と、前を向いた。

それでも優勝同点の14勝という好成績で、来場所の新入幕は決定的といえる状況となった。初場所で幕下15枚目格付け出しでデビューから、所要3場所での新入幕となれば、遠藤と並んで昭和以降最速となる。落合は「師匠からは『2場所で通過しなかったら引退だからな』と言われていたので、まだどうなるか分かりませんが、14勝できてホッとしています。まだ好きな相撲を続けられるので(笑い)」と、冗談でハッパを掛けられていたことを明かした。

新入幕となれば、新たなしこ名を付けられる可能性もあるが「秘密です」と、ほほ笑みながらけむに巻いた。ただ「師匠へのあこがれが強いので『鵬』という字をいただきたいです」と付け加えた。

4月の稽古中に痛めた左肩は、15日間、痛々しいテーピングを巻いていた。今場所は痛み止めの注射を、3日に1度のペースで打って土俵に立っていた。それでも土俵に立つと「痛みを忘れていた。あらためて、相撲が好きだなと思った」と、むしろけがによって相撲への思いの強さを再認識し、強い心で臨めたという。「うれしかったし、悔しかった15日間。いろんな感情がある」。心身ともに成長を感じながら、来場所はざんばらの落合が、幕内の土俵を盛り上げているかもしれない。